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地方自治 第92条~第95条
第92条 地方自治の基本原則

【弁護士】 いよいよ統治論も日本国憲法第8章の地方自治まで入りました。まずは92条についてお話します。最初に、地方自治というとどういうことをイメージしますか?

【生徒】 都道府県には知事がいるだとか、都道府県議会があるだとか…。あとは、私の住む市では、最近市の公認ゆるキャラが活躍しているんですよ!ゆるキャラのおかげで市の収入が増えたって聞きました。

【弁護士】 ゆるキャラ以外にあなたの市で話題になったことってありますか?

【生徒】 そういえば、私の市ではいじめ・体罰防止条例を作るということで、市を挙げて議論がされていました。以前にもポイ捨て条例だとか、色々条例ができていたような…。

【弁護士】 都道府県や市町村は、その地域だけに適用される条例を作ることができます。日本国憲法においては,地方自治というと、国の中で地域を区切って、その中でそれぞれが独自に行政サービスを行ったり、ルール作りをしたりするというイメージがわきますよね。
あなたの言うように知事がいて、議会が機能して、ゆるキャラが活躍しているのも、日本国憲法で地方自治について定められているからなのですよ。

【生徒】 日本国憲法にはゆるキャラのことまで書いてあるんですか?

【弁護士】 さすがにゆるキャラについて直接定めた規定はありませんがね。では、憲法92条についてみて下さい。この規定をみて、どう思いますか?

【生徒】 「法律でこれを定める」とありますね。日本国憲法の規定はずいぶんあっさりしているような…。

【弁護士】日本国憲法はあくまで国家の基本法なので、細かいルールは法律に委ねて機動的に改正できる方が望ましいとされているからです。

地方自治のあり方も時代によって変化しますしね。近年の例でいえば、平成に入ってから「地方分権改革」ということが叫ばれるようになり、様々な法律が改正されました。

【生徒】 確かに地方分権って言葉は聞いたことあります。じゃあ先生、「法律でこれを定める」の法律ってどんな法律なんですか?

【弁護士】 いい質問ですね。地方自治に関する法律は多数ありますが、最も重要なものとしては地方自治法が挙げられます。

【生徒】 なるほど。「法律でこれを定める」っていう意味はわかりましたが、その前にある、「地方自治の本旨に基づいて」とはどういう意味なんですか?

【弁護士】 ホンシってあまり使わない言葉ですし、一見すると何を言いたいのかよくわからないですよね。
本旨とは、言い換えるとすれば、趣旨だとか理念だとか、モットーといった感じですね。

【生徒】  地方自治のモットーですか。それは具体的にはどんなものですか?

【弁護士】 日本国憲法では,「地方自治の本旨」とは、大きくわけて、住民自治と団体自治の2つの要素を指しています。
それぞれ簡単に説明しましょう。住民自治とは、地方自治は住民の意思によって行われるべきだという理念です。住民自治については、憲法93条がそのことを詳しく定めた規定なので、またあとで説明します。
もう一つの団体自治とは、地方自治は団体の意思と責任の下で行われるべきだということです。つまり、中央の手下ではなく、独立した存在なのだということです。団体自治については94条がそのことを定めているので、これもあとで見ましょう。

【生徒】 いきなり難しくなってきました。つまりは、法律で定めるといっても、それは住民自治と団体自治という2つのモットーに基づいていなきゃいけないということですか?

【弁護士】 そういうことです。地方自治の本旨を無視したことを定めた法律は、日本国憲法92条違反で無効となりえますね。

【生徒】 昨今、「道州制」という議論をたびたび耳にするのですが、「道州制」は日本国憲法92条違反にはならないのでしょうか?

【弁護士】 「道州制」を作って、それをどのように機能させるかにもよると思いますが、都道府県や市区町村という単位をやめて道州制を導入することそのものは、それだけで直ちに住民自治や団体自治に反するものではないので、日本国憲法のうえで,違憲とはならないでしょう。
この問題については、実は様々な立場からの議論が考えられます。制度によっては違憲論や合憲論もありえますので、今後注意して議論を見守っていきましょう。

【生徒】 わかりました!

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