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国民の権利及び義務 第10条~第40条
第13条 個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重

【弁護士】 憲法13条前段は「すべて国民は、個人として尊重される。」と定めています。

【生徒】 なんだか当たり前のことが書かれている感じがします。

【弁護士】 個々のあり方の独自性を認められた社会に生まれた私たちにとっては当たり前と感じるのも無理はありませんが、当たり前のように見える条文こそ、その条文がない場合を意識しなければなりません。13条前段がない社会というのはどのような社会なのでしょうか。

【生徒】 個人として尊重されない社会ですよね。どんな風になってしまうのだろう?

【弁護士】 個人として尊重されない、つまり個人の尊厳が無視されうる社会です。それは、例えば、一人の独裁者が現れれば、個々人の個性は無視され、個々はその独裁者に従属しなければならないような社会を意味します。身分制が布かれていた中世ヨーロッパのような社会もそうです。

【生徒】 えーーーーそんな社会は嫌だ。

【弁護士】 このように、その条文がないことを意識すれば、当たり前と思われる条文も意味のある条文に思えるでしょう!

【生徒】 確かにそうですね!これから、当たり前やん!と思う条文は、それがない社会を創造して勉強することにします!

【弁護士】 話を13条前段に戻します。13条前段は、つまり、国民一人ひとりを独立した存在と捉え、その個人を尊重し、その価値を最大限に評価しようという、個人主義を定めたものです。13条前段に定められた個人の尊重は、憲法の基本原理の一つですので、よく覚えておいて下さい。

【生徒】 はい、最初は当たり前なことが書いてある条文だと思いましたが、とても重要な条文だったのですね!よく覚えておきます。

【弁護士】 次に、13条後段は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と定めています。
「生命、自由及び幸福追求に対する権利」は、まとめて「幸福追求権」とよばれています。幸福追求権がどのような権利であるか、イメージはできますか?

【生徒】 うーーん。国に対して、私に幸福を与えてください!と要求する感じですかねー。あまりパッとしませんが。

【弁護士】 13条は、そのような要求をすることを認めているわけではないのですよ。何が幸福かは人それぞれ全く違いますよね。だから幸福の権利自体を保証することは事実上無理なのです。そこで、憲法は「幸福を追い求める権利」を保障しているのです。みんなそれぞれの価値観に基いて幸福を追求していいですよという権利なのです。

【生徒】 なるほど。確かに、幸福を追求するのを国に妨げられたらたまらないですもんね。
プライバシー権も13条によって保障されるということを聞いたことがありますが、条文にはそのようなことは書いていないのですね!?

【弁護士】 そうですね。プライバシー権などのいわゆる「新しい人権」は、憲法の文言上は出てこないのですが、「幸福追求権」の一つとして保障されうると解されています。
では、プライバシー権とはどのような権利なのでしょうか?何かプライバシー権が問題になるような事例を知っていますか?

【生徒】 確か、住基ネットはプライバシー権がどうこう言われていたと記憶しています。

【弁護士】 そうですね。判例でも、「13条は、……私生活上の自由が保護されるべきことを規定している」とし、私生活上の自由の一つとして、「何人も、個人に関する情報をみだりに第三者に開示又は公表されない自由を有する」としており、プライバシー権が13条で保障されることを認めています。もっとも、平成20年の判例では、住基ネットは、管理されている情報がそれほど秘匿性の高いものでもないことを理由として、合憲だとしています。
プライバシー権以外に、「新しい人権」について聞いたことはありますか。

【生徒】 肖像権というのも聞いたことがあります。

【弁護士】 そうですね。突然警察から何の理由もなく容貌等を写真に撮られたら、それはまさに肖像権侵害といえ、13条に反するでしょう。
他には環境権というものもいわれています。環境汚染は健康や生存そのものを脅かしますよね。そういった環境汚染に対応し、人権としての環境権の提唱がなされるようになったのです。ただ、いまだに環境権を正面から認めた判決はありません。

【生徒】 他には、自己決定権というものも聞いたことがあります。

【弁護士】 そうですね。これは、ざっくばらんに言えば、自分のことは自分で決めることができる権利ですね。例えば、子どもを生むか生まないかについてやどんな服装にするかといった私的な事柄に関して、国から干渉されずに、自由に決することができる権利です。

【生徒】 なるほどー!色々な内容の権利が13条で保障されているのですね。

【弁護士】 はい。社会の変革に伴い、個人の人格的生存に不可欠な権利の内容にも変化があらわれました。そのような権利を13条がまとめて保障しているのです。
ノンスモーカーの私としては、嫌煙権というものも幸福追求権のひとつとして認めてほしいですが…。
もっとも、幸福追求権も、公共の福祉に反してはなりません。つまり、12条の公共の福祉の話と同様、ある人が幸福追求をしていると、他者の人権を侵害することが起こりえます。そのような場合には、「公共の福祉」によって調整がはかられるということです。

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