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国民の権利及び義務 第10条~第40条
第14条 法の下の平等、貴族制度の否認、栄典の限界

14条1項
法の下の平等

【弁護士】 こんにちは!さて、今日は「平等」についてですね。平等という言葉自体は、まあまあ馴染みのあるものだと思います。

【生徒】 先生!

【弁護士】 な、なんですか?

【生徒】 先生、私は、平等について長らく思っていたことがあります。

【弁護士】 ほう、なんでしょう。

【生徒】 この前、担任の先生が、クラス対抗のバスケットボール大会の選抜メンバーを決めるときに、差別をしました。僕もそのチームに入りたかったのに、背の高い人や、バスケットボール経験者ばっかり入れた結果、僕はチームに入れなかったんです。これって、差別ですよね?人種差別とかとほとんど差がないと思うんですけど。

【弁護士】 なるほど、あなたはそれが差別だと思うのですね。

【生徒】 他にもあります。教室の大掃除をしたときに、担任の先生は、女子には軽い荷物ばかり持たせて、男子にばかり重い荷物を運ばせたこともありました。「男女平等」が謳われる世の中ですし、これも明らかに差別と思いました。

【弁護士】 なるほど。世の中には、いろんな区別や差別がありますね。じゃあ、どういう区別が良くて、どういう区別が悪いんでしょうか。例えば、「レディース・デー」で、女性だけちょっと優遇されるなんてこともよくあります。でも誰もそれについて文句をいいません。なぜでしょうか。

【生徒】 確かに…区別にもいいものと悪いものがあるのですね。じゃあ、一体「平等」ってなんなんでしょうかね。

【弁護士】 国家が、人を区別して、ある人を特別有利に扱ったり、あるいは逆に不利に扱ったりしてはならない、という意味です。

【生徒】 国家はすべての人を同じに取り扱え、という意味ですか。

【弁護士】 うん、そういう意味にもとらえることができるね。個人を法的に均等に扱って、個人の自由な活動を保障する。それはそれで、大事なことだね。

【生徒】 うーん。どんな場合でも、一律に、ということですか?

【弁護士】 たしかに、人それぞれ、おかれている境遇が異なるからねえ。いつも一律に扱うことがよいこと、とは限らないね。

【生徒】 たとえば、どのような場合ですか?

【弁護士】 たとえば、年収3000万円の人と、年収300万円の人とがいる場合に、国が、一律に、税金30万円を課すとするよね。そのときに年収3000万円の人は、100分の1の負担ですむのに、年収300万円の人は、10分の1の負担がかかることになりますよね。

【生徒】 同じ30万円であっても、実質的にみると、負担のかかり方が違うことになりますね。
年収3000万円の人には、30万円、年収300万円の人には、3万円、としたほうが、負担のかかり方は一緒になりますね。

【弁護士】 そうです。「平等」といっても、憲法が要請しているのは、なにがなんでも同じに扱えということ(絶対的平等)ではなく、各個人の違いを考慮に入れてそれに応じて等しく扱えということ(相対的平等)なのです。
合理的な理由があれば、憲法は人と人とを異なって扱うことも認めているのです。

【生徒】 わかりました。

 

【平等原則は、誰を拘束する?】~「法の下に」平等とはどういう意味?
【生徒】 「法の下に」平等とは、どういう意味ですか?

【弁護士】 法を執行し適用する行政権・司法権が国民を差別してはならない、という法適用の平等を意味するよ。それだけではなく、法そのものの内容も平等の原則にしたがって定立されるべきだ、という法内容の平等も意味するよ。

【生徒】 平等原則は、立法者も拘束するのですね、わかりました。

 

【「差別」と「合理的区別」について】~憲法14条1項後段列挙事由について

【生徒】 「合理的区別」は、平等原則の下でも許されるのですよね。一方で、「差別」は許されないのですよね。「差別」と、「合理的区別」って、どう違うのですか?

【弁護士】 難しいけれど、よい質問だね。異なった取り扱いのうち、どれに着目し、どのような権利・利益について、どの程度に異なった取り扱いをするか、によって一様ではありません。だから、憲法上禁止される「差別」と、許される「合理的区別」を分かつ基準を、一口でいうことは困難ですね。ここでは、異なった扱いの「合理性」が問題になる局面ごとに考えてみましょう。

【生徒】 憲法14条1項後段が、とくに「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」による差別の禁止を定めています。この14条後段はどのような意味を持っているのですか?これ以外の事由については、国家は、自由に個々人を区別してもよいのでしょうか?

【弁護士】 そんなことはないよ。憲法14条1項後段の事由は、国家による区別がゆるされない事由を例示的に説明したものだよ。「例示的」とは、「限定的ではない」という意味です。

【生徒】 それでは、憲法14条1項後段には、特別の意味はないということになりますか?

【弁護士】 その点については、いろいろな考え方があります。少し一緒に考えてみましょう。憲法14条1項後段に列挙されている事由には、どのような特徴があるかな?

【生徒】 人種・性別・社会的身分・門地は、いずれも、人の生まれによって決定される条件ですね。信条については、よくわかりません。

【弁護士】 そうですね。人種・性別・社会的身分・門地は、生まれながらに決まっている条件ですね。信条は、民主制の基本にかかわる価値として絶対的にその自由が保障されるべきものです(→憲法19条・20条)。これらの事由については、歴史的に見て不合理な差別が行われた事項といえます。

【生徒】 そういえば、日本でも、アイヌ人の差別が問題となったりだとか、女性だけが定年が早い会社があったりだとか、聞いたことがあります。こういった事項について、人を区別して取り扱うと、その属性をもつ人は、ますます社会からの冷たい視線をうけることになっちゃいそうですね…。

【弁護士】 そうです。14条1項後段列挙事由を理由とする国の区別的取り扱いは、基本的に、やってはいけません、と、考えるべきでしょう。その意味で、14条1項後段は特別な意味をもつと考えることができるでしょう。

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