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国民の権利及び義務 第10条~第40条
第25条 生存権、国の生存権保障義務

【弁護士】 憲法25条は1項で「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」としています。また、2項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としています。

【生徒】 生存権ですよね。社会権の一つだと授業で習いました。

【弁護士】 そうですね。社会権が自由権と何が違うか分かりますか?

【生徒】 自由権は国民生活に国家が介入してこないことを求めるものです。これに対して、社会権は国民が国家に一定の請求を求めるものです。

【弁護士】 その通り。自由権は「国家からの自由」と呼ばれるのに対して、社会権は「国家による自由」と呼ばれています。国家が国民生活に介入しないだけでは、資本主義経済のもとで貧富の差が広がってしまいます。そこで、社会的な弱者を積極的に救済すべきだという福祉国家の理念が生まれました。これを具体化したのが生存権です。

【生徒】 社会権は自由権の後にできたものなんですね。ところで、生存権はその法的性格に争いがあると授業で習ったのですが、どのように違うのか分かりません。

【弁護士】 一般に生存権の法的性格に関しては「プログラム規定説」「抽象的権利説」「具体的権利説」があるとされていますね。「プログラム規定説」というのは、憲法25条は国家に対して政治的・道徳的義務を課したものにすぎないと考えるものです。

【生徒】 え!?それじゃあ僕が生活に困ったときは国に何も請求できないんですか?

【弁護士】 いや、そういうことにはならないんだ。もう一度憲法25条1項の条文を読んでほしい。「健康で文化的な最低限度の生活」と書かれているね。このような抽象的な文言じゃあ国もいくら支払えばいいか分からない。そこで、どれくらいの額を支払うかは生活保護法などの法律によって定められているんだ。

【生徒】 なるほど!「プログラム規定説」でも僕の生存権は保障されるんですね。「抽象的権利説」は憲法25条を具体化する法律が制定されて具体的な権利になるというものだったと思います。この具体化する法律が生活保護法ですね!

【弁護士】 その通り!「具体的権利説」は生活保護法がなくてもお金を請求できそうだけど実は違うんだ。生活保護法が制定されてないとした場合に、国に対して生活保護法を制定してないのは違憲だと訴えることができるとする説なんだ。
現代では、生活保護法以外にも国民健康保険法、国民年金法、雇用保険法、環境基本法など様々な法律が制定されている。そのため、生存権の法的性格は具体的な結論に影響することはほとんどないね。

【生徒】 環境基本法といえば環境権というのを新聞やニュースで最近見かけますが、環境権も憲法で保障された人権なんですか?

【弁護士】 良好な環境を享受する権利が環境権と呼ばれるものだね。公害問題を背景に新しい人権として憲法上保障されると考えるのが有力になりつつあるね。

【生徒】 まだ判例では環境権が認められたことはないんですよね。これからの判例の動向に注目する必要がありますね。

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