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国民の権利及び義務 第10条~第40条
第27条 勤労の権利・義務、勤労条件の基準、児童酷使の禁止

【弁護士】 まず,1項では,「すべて国民は,勤労の権利を有し,義務を負ふ。」と定められています。

【生徒】 そもそも「勤労」ってどういう意味ですか?

【弁護士】 「勤労」とは心身を働かせて仕事に励むことですよ。

【生徒】 それでは,「勤労の権利」って仕事に励むことは自由にできるってことですか?

【弁護士】 そうだね,働く意思や能力がある人が労働に従事することを国家が規制しちゃダメだってことだね。ただ,この「勤労の権利」が設けられたのは,労働者に人間に値する生活を実現するためだから,働く意思や能力があるにもかかわらず,民間企業で働く機会に恵まれない人が国に対して,働くチャンスをくれ,それが無理なら何らかの保護をしろって求める意義もあるんだよ。

【生徒】 え!それじゃあ働くチャンスに恵まれない人は,国に対して働かせろって言えばそれが実現できちゃうんですか?

【弁護士】 残念ながら,そこまでは認められていないんだよ。「勤労の権利」は,あくまで国民に仕事に励む機会を保障するように国に政治的な義務を課しているにすぎず,国家への請求権を認めたものではないんだ。

【生徒】 ……

【弁護士】 つまり,27条1項の「勤労の権利」が国民にあるからといって,裁判所にいって働かせろって主張して国を訴えても裁判所は認めてくれないということだよ。

【生徒】 なるほど。わかりました。ところで,「義務を負ふ」ってどういうことですか。国民は仕事に励むことが強制されることになるのですか?

【弁護士】 いやいや,この「義務を負ふ」っていうのは,強制労働しなさいということを求めているわけではないんだ。この言葉は,仕事に励む能力がある者は,自分で一生懸命仕事に励んで生活すべきだという原則的な方針を明らかにしたにすぎず,国民に勤労の義務を課したものではないんだ。

【生徒】 そうなんですね,無理やり働かされるわけではないんですね。よかった,安心しました。
次に,2項は,「勤労条件に関する基準は,法律でこれを定める」ってあるのですか,何で法律で定めなければならないんですか?個人同士が自由に決めたらダメなんですか?

【弁護士】 よいところに着目したね。確かに,一般の社会においては,個人の自由な意思に基づいて自らの法律関係を決めることができるのが原則なんだ。ただ,労働者は使用者に使われる立場だから,立場的に使用者よりも弱い立場にあるというのが現実なんだよ。そうすると,使用者は労働者の生活を無視して劣悪な勤労条件を示して,立場的に弱い労働者がその条件を受け入れざるを得ないという事態が生じてしまうんだ。そのような事態が起こることを防止し,労働者の生活を保障するために,「法律で定める」ことが求められているんだ。

【生徒】 そういう理由だったんですね。納得しました。

【弁護士】続けて,3項には,「児童は,これを酷使してはならない。」と規定されていますね。「児童」というのは,心身がまだ十分に発達していな子どもという意味で考えておけばよいだろう。

【生徒】 児童を酷使しちゃダメだってことはなんとなくわかるんだけど……

【弁護士】 歴史的に見て,児童が国家によって虐待されたり,強制労働によって酷使されることが多かったことから規定されたんだよ。今では国が児童を酷使することがダメなことは当然のことだと一般的には認識されているかもしれないね。

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