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司法 第76条~第82条
第81条 法令等の合憲性審査権

【弁護士】 違憲審査権についてみてみましょう。これは、憲法が一番えらいルールとして、それに違反した法律がないか審査する権利をいいます。これは、裁判所の役割としてかなり重要です。

【生徒】 ただ、そのわりには違憲判断ってなかなか下されないですよね。もう少しあってもよいと思うのですが…。

【弁護士】 それは、日本が採用している違憲審査制はアメリカ型である上に、付随的審査制がとられ、さらに、司法消極主義がとられていることが原因だと考えられます。

【生徒】 すいません、ちょっとというか全然わからないです。アメリカ型というのは…?

【弁護士】 司法裁判所が違憲審査権を持っているという制度のことです。これは戦後アメリカにならって導入されたものです。

【生徒】 そうなのですか。日本の制度が万国共通だと勘違いしていました。アメリカ型という以上は、他の国ではどういう制度がとられているのですか?

【弁護士】 例えば、政治部門の中に憲法判断を行う機関もあれば、通常の裁判所とは別組織の憲法裁判所というものが憲法判断のみを行う国もあります。

【生徒】 へぇ~。全然知らなかったです。では、付随的審査制というのはどういう制度なのですか?

【弁護士】 簡単に言えば、事件がなければ違憲審査は行わないという制度です。例えば、あの法律は憲法に違反していると思うので審査してくださいと裁判所に駆け込んだとしても、その法律によって何か被害を受けたりして事件が起きているわけではない場合には、審査してくれないのです。

【生徒】 そうだったのですか。でも、どうしてそういう制度を採用しているのでしょう?違憲の法律はどんどん審査して排除した方がいいと思うのですが…。

【弁護士】 当然そういう考え方はありうるでしょう。ただ、日本の考え方は、違憲審査権の第一次機能を私権保障に求めています。すなわち、権利や利益の侵害から守ってあげるために、違憲審査権を発動するのです。逆にそうした侵害がないのであれば、違憲審査権を発動する必要はないと考えているのですね。

【生徒】 そういう考え方を日本はしているのですね。では、最後に、司法消極主義について教えてください。

【弁護士】 司法消極主義というのは、違憲判断を控える態度のことをいいます。

【生徒】 えっ、せっかく違憲審査権が与えられているのだから、どんどん使って違憲判断をすべきではないのですか?

【弁護士】 君の言いたいこともわかりますが、次のように考えてみてはどうでしょうか?まず、国民は議員を選ぶので、議会や政府は国民の代表だと言えます。一方で、裁判所は国民の代表というわけではありません。つまり、国民から近いのは断然議会や政府の政治部門です。とすれば、国民主権という原理からすると、裁判所が民主的につくられた法律について積極的に審査するのではなく。むしろ、そうした国民の代表である政治部門の判断を尊重すべきではないのでしょうか?

【生徒】 そうですね。納得する部分もあるのですが、それだと裁判所は議会や政府の追認機関になってしまわないでしょうか?

【弁護士】 確かに、そうした批判はあるところです。私も、違憲審査制のもつ重要な意義を考えると、本来裁判所はもう少し積極的に議会や政府の判断に介入してもよいのではないかと思うところです。今後も、司法制度について、ふさわしい在り方を考えていくべきでしょう。

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